Q.登記簿と権利証の違いは何なのでしょうか？不動産会社に売却する時は登記簿と権利証の２つがあったほうが良いのでしょうか？
A.登記簿と権利証はいずれも不動産に関する文書であり、不動産売却に伴って生じるその不動産の所有関係やその他の権利関係の情報を記載しているものの、異なる性質があります。
以下に登記簿と権利証の違いを説明しますのでご覧ください。
登記簿は不動産の登記情報を一元管理する公的な文書です。不動産の所有者や担保権の登記、買主の登記、抵当権の登記など、不動産に関する重要な情報が記録されており、また、所有者や権利関係を特定し、第三者が不動産の権利を調査する際に使用されます。
登記簿は法務局で管理されており、不動産関係者に限らず、誰でも閲覧することができます。
権利証（現在は「登記識別情報通知」という呼称）は、特定の不動産の所有権や権利を証明する文書であり、不動産の取得時や所有者の変更時に発行されます。権利証には不動産の所在地や面積、所有者の氏名、取得価格、取得日などの詳細が含まれていて、不動産の所有者が自身の所有権を証明するために利用され、売買取引や担保設定などの際に必要とされます。
登記簿と権利証の主な違いは、内容と管理方法にあります。
登記簿は不動産に関する全ての登記情報を総合的に管理する公的な文書であり、不動産の所有者や担保権の登記情報などが記録され、法務局の管理の下、誰でも閲覧することができます。
権利証は特定の不動産の所有権や権利を証明するための文書であり、所有者の氏名や詳細な不動産情報が含まれます。権利証は不動産の所有者が保管し、必要に応じて提示することが求められます。
簡単にまとめますと、登記簿と権利証は、不動産の所有権や権利関係を保護するために重要な役割を果たします。
登記簿は第三者が不動産の権利を調査するための基礎情報を提供する一方、権利証は不動産の所有者自身が所有権を主張するための証拠として使用されます。不動産の売却や担保設定などの取引においては、権利証の提示が必要とされます。
登記簿は、法的な手続きを経て不動産の変更が行われた際に更新されます。所有権の移転や抵当権の設定などの登記手続きが行われると、それが登記簿に反映されます。
一方、権利証は不動産の取得時や所有者の変更時に発行されるため、特定の時点での不動産の情報を含んでいます。権利証は所有者が保管し、必要に応じて法的な手続きや取引の際に提出されます。権利証は、所有者が自身の所有権を主張するための重要な文書となります。
登記簿と権利証は、不動産の所有権や権利関係を保護するために密接に関連しています。登記簿は不動産の全体像を把握し、第三者が権利を調査する際の基礎情報を提供し、権利証は所有者が自身の所有権を主張するための具体的な証拠となります。
両者は異なる文書であり、それぞれが不動産の権利関係において重要な役割を果たしています。
最後に、不動産の取引や法的な手続きにおいては、登記簿と権利証の両方を適切に確認し利用することが重要です。不動産の権利関係に関する正確な情報を得るために、登記簿の閲覧や専門家の助言を活用することをおすすめします。
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求
