Q.不動産売却のチラシがたくさん送られてくるんですが、その中で最近リースバックという言葉をよく見ます。これは何のことですか?
A.リースバック(leaseback)は、不動産取引の一種で、売主様が不動産を売却した後、同時にその不動産を賃貸する契約です。つまり、不動産を売却して名義を買主様に変更しつつ、同時に賃貸契約を結ぶことになります。
最大の特徴は、不動産を売却して所有権が無くなってはいるものの、引き続きその不動産に住み続けることができることです。
▼売主様
不動産売却後、自身が賃借人、買主様が賃貸人として建物賃貸借契約を結び、引き続きその不動産(元々は自宅)に住み続ける。
▼買主様
不動産購入後、自身が賃貸人、売主様を賃借人として建物賃貸借契約を結び、購入した物件を元の売主様に貸し続ける。
かなり簡単に言ってしまいますと、不動産売買によって所有権が移転し、その後、不動産賃貸借の関係に変わっていくという事になります。
一般的なリースバックの場合、不動産オーナーは所有不動産を売却して現金を手に入れることができますが、同時にその不動産を一定期間、賃料を支払いながら使用することができます。この方法は、資金を必要とする不動産オーナーにとって現金を得る手段となり、同時に不動産を利用し続けることができるといったメリットがあります。これら以外にも、引っ越す必要が無い、建物のメンテナンスの必要が無いといった事が挙げられます。
リースバック契約は、さまざまな目的で使用されることがあります。
例えば、個人や会社が経済的な困難に直面し、現金を必要とする場合、不動産を売却することで資金を調達しつつ、ビジネスや生活の継続を支援することができます。また、不動産のオーナーが退職したり、事業を引退する場合にも、リースバックを利用して資金を確保しつつその不動産の使用を続けることができます。
また、リースバック契約は、売主様と買主様の間で交わされ、通常、契約にはリースバック期間、賃料、不動産オーナーの権利や責任、保守や修繕などの条件が含まれます。リースバック契約は、法的な専門知識やアドバイスを必要とする複雑な契約であるため、契約の詳細については不動産仲介会社や弁護士と相談することが重要です。
都合よく使えそうなリースバックですが、もちろんメリットばかりではありません。
リースバックにはデメリットもあります。
▼高いコスト
リースバック契約には手数料や手続き費用がかかる場合があります。
▼資産の損失と再取得
不動産をリースバック会社に売却するため、所有権を失います。これにより、将来的にその資産の価値が上昇した場合にその恩恵を受けることができません。また、リースバック契約の終了後に不動産を再取得(買い戻す)する際に、元の不動産の価値が変動している場合には追加の費用がかかる可能性もあります。
▼資産の使用制限
リースバック契約によって、不動産の名義が変わるため、元々の不動産オーナーは不動産の使用に制限を受けることがあります。たとえば、一部の改築や使用目的の変更が制限される場合があります。
こういったデメリットも考慮し、リースバック契約を検討する際には事前によく確認し、将来の利益やリスクを総合的に判断する必要があります。
一般的に、リースバックは不動産市場や地域の経済状況によって異なる利点やリスクが存在するため、注意が必要です。契約を検討する際には、自身の状況や目的に合わせてリスクとメリットを検討し、専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求