Q.売却したい不動産の価格を調べる時に、査定をお願いした不動産会社から査定報告書という物をもらえるようですが、それにはどういう事が書かれているんですか?
A.呼称は「査定報告書や査定調査報告書」と言ったり、または「ご売却提案書」と言ったり、不動産会社によって呼び方に多少の違いはあるものの、中身は基本的には同じです。
不動産の売却時における査定報告書というのは、不動産の価値や市場価格を考慮して、売却価格の根拠となる情報を記載した文書です。不動産の専門家や不動産会社の担当者が査定報告書を作成し、売主様にお渡しします。
それでは、実際の査定報告書に一体どんな事が書かれているのか、その中身をちょっとだけ見てみましょう。この回では、査定調査報告書と呼んで解説していきます。
査定調査報告書には、一般的には以下のような情報が詰め込まれています。
●不動産の概要
査定調査報告書では、物件の所在地、用途、建物の種類、築年数など、登記簿に基づいて不動産の基本的な情報が記載されます。
●周辺環境
不動産の周辺環境や立地条件は重要な要素です。査定調査報告書には、近隣の施設(学校、病院、交通機関など)、商業施設の有無、公園や公共施設の有無などが含まれます。
●不動産の状態
査定調査報告書では、不動産の現状や設備の状態が評価されます。例えば、建物の構造や面積、間取り、設備の有無、リフォームの有無などが記載されます。
●類似物件の比較
査定調査報告書には、近隣の同様の物件や同じ地域での売却事例が記載されることがあります。これにより、市場相場や類似物件の価格を参考にして、不動産の適正な売却価格を評価します。
●売却価格の評価
査定調査報告書では、上記の情報を考慮し、不動産の評価額や売却価格の目安が示されます。査定調査報告書は売主様にとって重要な文書であり、売却時の交渉や価格設定の参考となります。
査定調査報告書は専門知識を持ったプロが作成するため、不動産の売却において重要な情報源となります。売主様は査定調査報告書を参考にして、不動産の適切な価格を設定し、スムーズな売却を進めることができます。ただし、不動産市場の状況や需要供給の変動などによって、査定調査報告書の評価額と実際の売却価格との間には差異が生じる場合も多々あります。市場の変動や市場を取り巻く周辺環境の変動(金利の変動や物価の変動)の結果、売却価格は査定調査報告書の評価額よりも高くなることもありますし、逆に低くなることもあります。
売主様は査定調査報告書を参考にしながら、不動産の価値を把握し、適切な売却戦略を立てることが重要です。査定調査報告書を作成する専門家や不動産会社とのコミュニケーションも重要であり、売主様の要望や市場の状況を考慮しながら、最適な売却価格を決定することが求められます。
なお、査定調査報告書は不動産の売却時にのみ作成されるものではありません。
聞きなじみはあまりないかもしれませんが、購入を検討している人が物件の価値を把握するためにも、査定報告書は役立つ情報源となります。また、不動産の相続や資産評価などの目的で査定調査報告書が作成されることもあります。
不動産の査定調査報告書は個別の物件や地域の要素に応じて異なる場合がありますので、専門家や不動産会社に相談することをおすすめします。
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求