Q.不動産売却にあたり、良い条件で購入してくださる方が現れたので不動産売買契約をしました。しかし、不動産売買契約後、買主さんから契約書に書いていない話をされ、さらには「売買代金の値引きに応じてくれませんか?」みたいな要求をされました。
これには応じなければならないのでしょうか?
こういう事ってよくあることなのでしょうか?
不動産売買契約後に買主様から契約書に書いていない条件や要求が出された場合、まずは契約書に明記された内容を確認しましょう。
契約書は売主様と買主様双方の同意を反映している文書ですから、書面上の合意事項が法的に拘束力を持ちます。
しかし、状況によっては、買主様との関係を構築して維持するために、契約書外の事であっても値引きや条件の交渉に応じることもあり得ます。
以下にいくつか考慮すべき要素をお示ししますが、場合によっては、法律問題になりかねないため、このような場合はできるだけ弁護士の方に相談されることをお勧めします。
●契約書の内容確認
購入者が主張している条件や要求が契約書に含まれているかを再確認します。買主様の主張が契約書に明記されていない場合、法的にはその主張は拘束力を持ちません。契約書に基づいて買主様の要求が拒否される場合、契約書にに基づいて取引を進める必要がありますし、また、売主様は要求に対応する必要はありません。
●口頭での合意の有無
買主様との間で、契約書外で口頭で合意事項があったかどうかを確認します。もし口頭での合意があった場合、それが証明できる材料(例:メールやFAXのやり取り)があれば、その合意も考慮すべきです。
●交渉の余地
買主様の要求が合理的であり、値引きや条件の交渉に応じることで、売買契約が円滑に進行し、売主様と買主様の双方が満足できる解決策が見つかる可能性がある場合、検討する価値があります。
●リスクと費用対効果の評価
買主様の要求に応じることが追加のリスクや費用を伴う場合、そのリスクや費用が合理的であるか、売主様が受け入れることができる範囲かを評価する必要があります。また、要求に応じることで得られる利益や関係の維持に対しての効果も考慮する必要があります。
●法的リスク
契約書外の条件や要求に応じることによって、法的なリスクが発生する可能性があります。例えば、他の関係者(金融機関などの債権者)との契約や法的制約に抵触する可能性がある場合は特に注意が必要です。
●弁護士からのアドバイス
法的な解釈やリスクを評価するために、契約書や地域の法律に精通している弁護士に相談することをおすすめします。きっと最善のアドバイスをしていただけることでしょう。
値引き要請に対応するかどうかは、具体的な状況と契約書の内容によります。買主様から契約書外の事を持ち出されて、結果として値引き要求とも受け取れるような状況である場合、違約という事も視野に入れて弁護士に相談された方が賢明です。
最終的な決定は、売主様自身がリスクと利益を考慮した上で行う必要がありますが、法的なアドバイスを受けることは、あなたの権利と責任を護るために重要です。
このような要求がなされたからとしても、焦らずに専門家の意見を聞きながら合理的に対応していきましょう。
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求