今回のお題はこちらです。
「土地の一部だけを売りたいけどできるのでしょうか?できる場合、どのように進めていけば良いのでしょうか?」
よくある質問ですね。
これは可能です。
一般的には「分筆」という手続きを行って、登記上、別の土地にした状態で売却します。
実務上、どのような手順で行っていくのか一緒に見ていきましょう。
まずは不動産業者に相談します。
不動産業者は不動産売却のプロですし、分筆の目的は土地の一部を「売る」事ですから、どのように土地を分ければ売却しやすいか、いくらくらいで売れそうなのかなどを不動産業者と検討していきます。
どのように土地を分けるのかが決まったら、次は土地家屋調査士に分筆を依頼します。
法務省のホームページによると、土地家屋調査士とは「不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査及び測量をすること」とあります。
ようするに不動産の測量の専門家ですね。
普段生活していて、土地家屋調査士の方と出会う機会はあまり無いですから、相談をした不動産業者から紹介を受けるのが一般的です。
実際に土地家屋調査士に分筆を依頼すると次のような流れで作業が進んでいきます。
①法務局や役所での調査
土地の正確な大きさがわからなければ売却できません。そして、隣家との境界が曖昧だと売却後にトラブルになる可能性があります。そのため、土地の売却時には初めに土地の正確な寸法や面積の確認を行います。また、1つの土地だと思っていても、公図(法務局で保管している地図のこと)で確認すると2つに分かれて登記されていることもあります。そのため、法務局や役所で、登記簿謄本や公図、地積測量図などから売却する土地について、現状を確認することが必要です。確定測量図があると正確な境界線や土地の大きさがわかるので、手間や時間、費用がはぶけます。
このようにして、土地の正確な情報を確認することが初めの作業です。
②現地調査・測量
土地家屋調査士が、どのような作業が必要になるかの計画を立てるために現地調査を行います。現地調査が終わったら、次に測量が行われます。実際に登記を行うには、正確な境界線の位置、面積や形状といった現地の状況を的確に把握する必要があります。
測量はそのために行われます。
③現地立会
土地の所有者、隣地の所有者、道路や水路などの管理者を含めた関係者が現地で目視による境界線の確認を行います。市道や県道に面している土地では、役所の担当課の職員の方が立ち会います。
④境界標の設置
土地の所有者や隣地の所有者による現地確認が終わったら、設置する所に適した方法で境界線の目印となるコンクリート杭、プラスチック杭、金属標、鋲などを打ち込みます。
⑤分筆登記
現地立会や境界標の設置が終わったら、土地家屋調査士が分筆登記に必要な図面などを作成し、法務局に申請します。
分筆登記は登記申請日から10日前後で完了しますので、登記が完了した後は、通常の不動産売買として不動産業者に売却を依頼することになります。
一般的には、分筆登記の申請自体は5万円から10万円が相場となっており、境界確定測量費用として土地家屋調査士へ支払う費用が50万円程度(公道に面した土地の境界点が4点の場合)となりますので、登記申請費用と併せると55万円を超える場合もあります。
決して安い費用ではありませんので、分筆登記の最終目的である「売却」がスムーズに進むように、最初の「不動産業者への相談」でしっかりと売却までのプランを練っておくことが非常に大事です。
「どのようにすれば売りやすいか」だけではなく、「どのようにすれば買ってもらいやすいか」を戦略的に考えていくようにしましょう。
宮城県で昭和60年創業
宮城県知事(2)6160号
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求