資産整理を機に不動産(一戸建)売却。売却した自宅の塀が越境していました|宮城県宮城郡利府町の不動産売却

Q.利府町で自宅を売りました。境界杭が見当たらない箇所があったので測量をすることになったのですが、測量をした人から「塀の根元が折れて傾いたことによって越境が生じている」との指摘がありました。これって直さなければなりませんよね?

A.そうですね。このような事情であれば越境を解消したほうがいいですね。買った人と隣家の人との間でトラブルになる可能性がありますし、買った人に非はありませんからね。
自宅を売却する場合、多くの方が気にかけるのは物件の価格や不動産市場の動向でしょう。しかし、売却に際して見落としがちなのが「越境(越境問題)」と呼ばれる問題です。越境とは、自宅の境界線が隣接する土地の境目を越えている状況を指します。自宅の敷地の境界線を気にするのは当然ですが、越境問題が発生してしまうと、売却後に意図しないトラブルを招くことがあります。たとえば、境界を越えた部分に建てられた物が原因で、隣接する土地所有者との間で争いが生じる可能性があるのです。このような事態は、売却後に新たな負担やリスクを抱えることにつながります。
越境問題は、住宅の売却にあたって大きな影響を与えかねません。具体的には、購入希望者が越境の結果として物件の評価を下げる可能性があるほか、法的な手続きや調整が必要になることもあります。こうした問題が発覚すると、売却が難航したり、最終的な売却価格に影響を及ぼすこともあるため、あらかじめ対策をとっておく必要があります。そこで今回は越境のリスクや、それが売却に与える影響、越境問題が発覚した際の具体的な対処法について解説します。また、専門家に相談することの重要性や、越境問題を未然に防ぐためのポイントについても触れていきます。自宅の売却を考えている方は、ぜひチェックしてください。

■初めに知っておくべき越境のリスク
売却した自宅が越境している場合、まず最初に理解しなければならないのは、越境によって生じる法律的なリスクです。越境は、隣接地との境界線を越えている状況を指します。この場合、越境されている土地の所有者との間で問題が発生することが考えられます。例えば、越境している部分が侵入している隣地の所有者がその部分の使用を拒否した場合、トラブルが生じる可能性があります。このような場合、売却した不動産の新しい所有者が越境についての対処を求められることになります。越境問題が未解決なまま売却を行うと、法的な責任を新しい所有者に転嫁することができず、結果的に自分自身がその問題に直面する可能性があるのです。

次に、越境のリスクは不動産業者との信頼関係にも影響します。不動産を売却する際によくあるのが、業者による境界調査ですが、越境を見逃すケースもあります。そのため、不動産業者を選ぶ際は、信頼性や実績を十分にチェックすることが重要です。

また、越境のリスクが発覚した場合には、売却価格への影響も無視できません。越境がある物件は、買い手にとってリスクを伴うため、相場よりも低価格での売却を余儀なくされることがよくあります。このため、自宅が越境している可能性がある場合は、早めに専門家に相談し、現在の状況を把握することが重要です。万が一、越境があると判明した場合は、適切な対処を講じることが求められます。具体的には、境界の確定や境界線の明確化を行うことが重要です。場合によっては、隣接地の所有者との合意を得る必要が生じることもあります。このような合意が得られれば、越境が解消されることがあり、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。

最後に、越境に関連するリスクを軽減するための手段として、境界確定測量を行うことをお勧めします。不動産を売却する前に、正確な境界を確認することは、越境問題を避けるための最善の策です。この調査によって、越境がないことが証明されれば、安心して売却を進めることができるでしょう。

不動産売却は大きな決断ですが、越境のリスクについて理解し、事前に対策を講じることで、トラブルを未然に防ぐことが可能です。越境が発生しているかもしれないと感じた場合は、早めに専門家に相談し、適切な対応をすることが成功につながるでしょう。

■越境問題が売却に与える影響とは

越境問題とは、主に土地や建物が他人の所有地に侵入してしまう状態を指します。具体的には、壁やフェンス、駐車スペースなどが隣接する土地に越境している場合が該当します。このような状況は、売却を進める際に多くの影響を及ぼす可能性があります。

まず、越境問題が発覚した場合、その不動産の購入を考えている買主の立場から考えると、非常に大きな不安材料となります。買主は、将来的にトラブルを避けるため、越境物件を購入することをためらうことが多いです。特に、法的な問題が絡む可能性がある場合、圧倒的に不利な条件として認識されがちです。

次に、越境問題が売却価格に直接影響を及ぼすことも考えられます。越境が確認された場合、多くの買主はその不動産に価値を感じず、提示される価格は大きく減少することがあるため、売却に至るまでの交渉が非常に難航する可能性があります。

また、越境問題は売却手続き自体にも影響を与えます。越境がある場合、売主としては、隣接地の所有者との協議や合意を得なければならないことが多く、これが売却活動を遅れさせる原因の1つとなります。これは、売却希望者にとってストレスのかかる問題です。

さらに、越境問題があると、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明書に、越境の事実を明記しなければなりません。買主に対して透明性を確保するために必要ですが、同時に越境問題を持つ物件は「告知事項あり」として扱われ、買主からネガティブに捉えられる可能性が高くなります。

越境問題への対処法としては、まず不動産業者への相談をお勧めします。不動産業者は最適なアドバイスをしてくれ、場合によっては、越境を解消するために必要な手続き方法を指南してくれます。可能であれば、自身で事前に越境に関する情報を把握し、必要な手続きを済ませておくことも売却時のトラブルを避けるための手段になるでしょう。

最終的に、越境問題を解決せずに売却を行うことは非常にリスクが高いです。問題を放置したままの売却は、後々大きなトラブルに発展することも考えられるため、事前の確認と適切な対処が不可欠です。

■越境問題発覚後の具体的なステップ
越境問題が発覚した後、まず最初に行うべきは、事実関係の確認です。境界線や登記情報を見直し、自宅が本当に越境しているのかを確認します。これには、専門の土地家屋調査士に依頼することが有効です。他の土地所有者、または隣人とも話し合い、現状を把握することが重要です。

次に、問題が確認できたら、解決に向けて次のステップを考えます。越境部分が小さい場合には、当該土地の所有者に対して交渉を行うことが可能です。

例えば、使用料を支払うことや、土地を正式に購入することなどです。ただし、交渉においては法的な側面も考慮する必要があります。そのため、法律的なことについては弁護士と相談し、どのような方法が最適かを検討しましょう。

また、越境問題が大規模な場合、法的手段を取ることも選択肢のひとつです。訴訟を起こすことで、法的に自宅の権利を明確にすることができます。ただし、訴訟は時間と費用がかかるため、慎重に決断することが重要です。

問題解決後は、必ず文書化を行いましょう。越境問題が解決したことを証明する文書を作成し、必要に応じて登記の手続きも見直すことが必要です。これにより、将来的なトラブルを避けることができます。

最後に、越境問題が売却に与える影響についても考慮しましょう。売却前に問題を解決しておくことで、買主にとっても安心感を提供できます。越境が生じたままだと、買主の不安を招き、売却が難しくなります。自宅を売却する際は、越境問題をクリアにしておくことが大切です。

■専門家に相談する重要性
越境問題は、個人や家族だけでは解決が難しいケースが多いです。そのため、まず専門家に相談することが必要です。専門家には、土地家屋調査士や弁護士、不動産業者などが含まれます。それぞれの専門家は、越境に伴う法律的、技術的な側面について詳しい知識を持っています。

土地家屋調査士は、越境が発生している境界線を特定し、必要に応じて測量を行うことができます。測量結果によって、どういった対策を取るべきか、どのように解決に向けて進めるかを明確にすることが可能です。

また、弁護士に相談することで、法的なアドバイスを受けることができます。越境が発生している場合、隣地とのトラブルに発展する可能性があるため、法的な観点から適切な対応を考えることが重要です。トラブルが長引くと、売却自体が難しくなることもあるため、早期の対策が推奨されます。

さらに、不動産業者に相談することも有効です。不動産業者は売却市場に対する理解が深く、越境問題が売却にどのように影響するかを把握しています。そのため、適切な価格設定や販売戦略を具体的に提案してもらえるでしょう。

これらの専門家に相談することは、単にアドバイスを受けるだけでなく、実際の手続きや対策を進める上でのサポートを受けることにもつながります。越境問題によって生じる法的なトラブルを事前に防ぐためにも、専門家の知識を活用することが大切です。

総じて、越境している自宅の売却において専門家に相談することは、売却をスムーズに進めるために不可欠です。専門家と協力することで、適切な判断を下し、迅速に問題を解決へと導くことができるでしょう。まずは自分の状況を専門家に正直に伝え、必要な手続きや対応策を検討してもらうことが、成功する売却に繋がります。

■越境問題を未然に防ぐために
越境トラブルを未然に防ぐためには、いくつかの重要なステップがあります。

まず、土地の境界を明確にすることが大切です。自宅を売却する前に、境界を確認するための調査を行いましょう。境界がはっきりしない場合、隣地との間で誤解が生じる可能性があるため、事前の土地測量を行うことが望ましいです。特に古い家や土地では、明確な境界が示されていないことが多いので、専門の測量士に依頼することをおすすめします。

次に、隣人とのコミュニケーションを大切にしましょう。周辺の住民との関係が良好であれば、境界について疑問や問題が生じたときでも、スムーズに解決できるケースが多いです。お互いの認識を確認し合い、問題があれば早めに対話を行うことが重要です。

また、売却時には土地に関する書類を全て確認しておくべきです。土地の登記簿や境界に関する図面、過去の取引履歴などをしっかりと整理し、必要な情報を把握しておきましょう。書類に不備があると、売却後にトラブルになる可能性が高まります。

さらに、信頼できる不動産業者の選定も欠かせません。越境問題について十分な知識を持ったプロフェッショナルを選ぶことで、事前にリスクを軽減することができます。自分自身だけでなく、業者にもしっかりと境界問題について相談し、必要な手続きやアドバイスをもらうことが重要です。

土地の利用状況や周辺環境にも目を向けることが大切です。利用されている道路やその他の境界を見直し、将来的に問題が生じないよう、今一度確認を行いましょう。計画的に進めることで、越境のリスクを最小限に抑えることが可能です。

また、近隣での新しい開発情報にも注意を払うことが求められます。新たに土地開発が行われる場合、境界が曖昧になる可能性があるため、その情報はこまめにチェックしておくべきです。

最後に、売却契約時には、越境問題に関する特約を設けることを考慮しましょう。万が一、境界に関するトラブルが発生した場合の対応策をあらかじめ契約書に明記することで、売却後のリスクを減らすことができます。これらの対処法を実践することで、越境問題を未然に防ぐことが可能です。

しっかりとした準備と確認を行うことで、不安を少しでも軽減し、安心して不動産を売却することができるでしょう。

今日のコラムはいかがでしたか?
売却する時に自宅の敷地が越境しているなんてショックがあるかと思います。しかし、専門家の意見を聞きながら冷静に判断していけば円満に解決できることが多いものです。
あなたの冷静な判断が利府町でのスムーズな一戸建売却に繋がる事を期待しています。

宮城県で昭和60年創業
株式会社日興管財
宅地建物取引士
熊谷 求